田植え🍚
こんにちは!
今回は年長さんの田植えの様子をお伝えします🍚
年長さん、本日は稲作(お米作り)の第一歩、「田植え」の日でした!
たくさんのお米を作っているバスの先生に貴重なお話を聞いて幼稚園田んぼへ出発です☺
みんな上手に田植えができましたね!
子どもと稲作
幼児期の子どもの稲作体験は、「おもしろい体験」以上の深い意味があります。
こんなことが子どもに伝わればいいな!という点をご紹介しますので、ぜひご家庭でも話題にしてください。
▶ 食育としての稲作
幼児は食べ物の成り立ちをまだまだ知らないことが多いですね。
もしかしたらお子さんにとって、白いご飯は炊飯器から、野菜はスーパーの陳列棚から出てくるものかもしれません。
稲作体験を通じて「種→苗→稲→お米」という過程を経験することで、食べ物が“自然の中で時間をかけて育つもの”だと理解できればと思っています。
これは「食べものに感謝する心」を育てる基盤であり、「命をいただく」までの一連の活動です。
「いただきます」「ごちそうさま」という言葉に本質を持たせるための重要な学びになるはずです。
▶ 自然環境との接点を持つ
現代的な生活環境では、泥や水、生き物と直接触れ合う機会が少なくなっていますね。
稲作体験では、手で苗を植え、水を感じ、変化していく稲の姿を観察しながら、視覚・触覚・嗅覚など複数の感覚刺激も得ることができます。
これは神経系の発達にとって非常に有効です。
また、苗を植える・育てる・収穫するという連続的な活動は、計画性や注意力、持続力といった非認知能力の育成にもつながります。
▶ 主体性・責任感の経験
稲は放っておいても育ちません。
植える人がいて、水を管理する人がいて、手間をかけた人がいて、はじめてお米になります。
幼稚園では田植え以降はバスの先生たちが丁寧にお世話をしてくれますが、まず子どもたちは苗を自分で植えることで「これは自分の手で始めたこと」という感覚を持ちます。
これは、単なる作業ではなく「自分ごととして関わる」貴重な経験になることと思っています。
このような「自分がやらなければ始まらない」状況は、現代の生活ではむしろ稀になってしまっています。
我々大人も含めて、多くのことが“与えられた状態”で用意されている中で、稲作体験は数少ない「自発的な関わり」を促す機会になることと思います。
後の学習への主体性や、他者への責任感の基礎となる重要な土壌となればと考えています。
稲作体験は実は、感覚・認知・社会性・倫理性など、複数の学びの要素を統合した教育活動です。
単に「自然体験」や「季節のイベント」の側面のみならず、「生きることの原理原則」に触れる貴重な機会として実施しています。
↓ここから先は興味のある人向け↓
稲作について
一般的な水稲栽培の流れを、春から秋にかけての工程ごとに紹介します。
1. 種もみの準備(2月〜3月)
米づくりは、前年に収穫して保存しておいた種もみを選ぶところから始まります。
選別では比重を利用して未熟な粒を除き、次に温湯消毒を行って病害の予防をします。
この段階での管理は、その年の発芽率や苗の健全性に大きく影響します。
2. 浸種と催芽(3月〜4月)
選別・消毒を終えた種もみは、数日間水に浸して十分に吸水させます。
その後、温度と湿度を調整しながら発芽を促します。これが催芽と呼ばれる工程です。
芽の長さが整うように管理することで、苗の生え方をそろえることができます。
3. 育苗(4月〜5月)
催芽した種もみは、育苗箱に播かれて苗として育てられます。
育苗期間中は温度・水・日照の管理が求められ、徒長(植物の茎や枝が異常に伸びてしまう現象)や病害を防ぐための注意が必要です。
健全な苗を育てることは、後の生育全体を支える基礎となります。
4. 田植え(5月中旬〜6月上旬)
苗が15センチほどに育ったころ、田に植えつけます。
事前に代かき(水を張って土をならす作業)を済ませておくことで、根付きがよくなります。
植え方や間隔は、風通しや分げつ(種子から出た茎の根元から新しい茎が出てくること)の促進、収量にかかわる大切な要素です。
5. 分げつと中干し(6月〜7月)
田植え後、稲は分げつと呼ばれる枝分かれの時期を迎えます。
この時期には茎数を増やすための水管理が必要ですが、やがて中干しと呼ばれる田の一時的な乾燥期間が設けられます。
これは根を強くし、倒れにくい稲にするための大切な工程です。
6. 出穂と開花(7月下旬〜8月)
真夏になると、稲の穂が姿を現します。これが出穂です。
出穂の後、短い期間ですが稲は花を咲かせ、受粉・受精を行います。
この時期は高温や強風、病害などによる品質への影響が出やすく、注意深い管理が必要になります。
7. 登熟と収穫(8月〜9月)
受粉後、米の粒はしだいにふくらみ、登熟という成熟期に入ります。
水を落とし、田を乾かしながら収穫の準備を進めます。
現在は多くの地域でコンバインを用いた収穫が行われていますが、地域によっては天日干しを行うこともあります。
8. 脱穀・乾燥・精米(9月〜10月)
収穫された稲は脱穀され、籾と藁に分けられます。
籾は乾燥機で水分量を調整されたのち、籾すり機によって玄米となります。
精米を経て、ようやく私たちが日々食べている白米が姿を現します。
稲作は自然まかせでもなければ、完全に人の思いどおりになるものでもありません。
気温や降水量、日照時間などに左右されながら、適切な時に適切な手を加えることで、ようやく米は実ります。
その工程のひとつひとつに、人の知恵と経験が詰まっていますね。