- KANAYAMA BLOG -

かなやま幼稚園ブログ

園のようす

講演してきました🏃

こんにちは!
今回は講演依頼をいただきましたので、
内容や感じたことなどについてお知らせします📸

児教育・幼稚園について
今回は教員養成校様にご依頼をいただき、「幼児教育・幼稚園について」というテーマで講演をさせていただきました。
子どもたちの今日の安心、そして明日の成長につながるよう、現場からの思いもお伝えしました。
これまでに何度かこういったこともしてきましたが、今回あらためて保護者のみなさまにも共有させていただきます。

なぜ保護者のみなさんに関係があるのか?
一見、「副園長が講演してきたことと保護者には何の関係もないでしょ」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、僕は今回の園外での活動をこのように捉えています。

・明日の先生の質=明日の幼児教育の安心
学生たちはやがて実習に来て、現場の先生になります。
講演での気づきが、最短距離で園の保育・教育に反映されます。

・採用だけでなく“育成から関わる”
人口動態が変わる時代、ただ「良い先生を探す」だけでは不十分。
社会全体が一緒に先生を育てることで、よりよい人材が増えます。

・家庭と園の“価値観の接続”が進む
私たちが学生に伝えるのは、園で大切にしている価値も含めてです。
この価値が将来、保護者のみなさんの安心感の土台になればと考えます。

幼稚園の時間を割いてまで?
「園の時間を割いてまで、なぜ外部で講演を?」と思われるかもしれません。
短絡的に見ればリソースを外部に漏らす、“余計なこと”のようですが、長い目で見れば“必要な営み”と判断しました。
「園の時間を割いてまで、なぜ外部で講演を?」に対する答えはシンプルで、社会全体で将来の先生を育てる営みに、園として責任を持って関わるためです。

今日の1時間は、数年後の100時間の安心に変わります。
実習や採用の現場で「知らないことに費やす時間」が減り、子どもと向き合う時間が増えます。
また、現場の価値観を種として先に蒔くことで、入職初日から幼稚園に順応しやすい先生が育ちます。
これは園だけの最適化ではなく、地域全体の教育力の底上げです。
子どもは園の外でも暮らしていますからね。

これは“植樹”に近い感覚です。
育てた木にやがて実るその果実こそ、養成校を卒業して先生となる人材です。
だからこそ、直前に必要になった時だけ果実を刈り取るような園にはなりたくありません。
根を支え、枝を伸ばし、時間をかけて実らせる営みに関わり続けたいと考えています。

今回は「園の話」ではなく「幼児教育ぜんぶ」の話を
こうした理由から、今回はかなやま幼稚園に限定した事例紹介にならないよう、幼児教育全般の視点で構成しました。
どちらの園でも通用できるような先生が育つことを願い、特定の園の運用や流儀を“正解”やポジショントークとして語るのではなく、「幼稚園」や「幼児教育」の原理・原則と判断の考え方に焦点を当てています。

もちろん、その実践の場のひとつとして、かなやま幼稚園が「選ばれる実習先」「選ばれる園」であり続けたいという思いをもって。
ですが、その経験や知見を独り占めするのではなく、広く社会に還元し、どの園においても活かされるように語ることが、未来の子どもたちのために必要だと考えています。

植物がまっすぐに育つには、偏った栄養や奇をてらった手入れではなく、本質を支える土壌が欠かせません。
教育も同じで、特定の園にしか通じない手法ではなく、子どもの発達を支える普遍的な考え方を共有することが大切だと考えています。
そして何より、本来「その園でしか通用しない人材」になってはいけないと思っています。先生という存在は、園を越えて社会に必要とされるものだからこそ、普遍的な力を備えていく必要があります。

「僕」が直接伝える理由
僕のような”幼稚園の職員”が直接伝えるからこそ、机上では届きにくい“温度”と“段取り”を手渡せます。
目的は一つ。
先生になったその日から、子どもにも保護者にも適切に接する準備を整えておくことです。
学校の先生の講義は必ず必要です。
なぜなら「基本」や「理念」をなくして応用は効かしえないからです。
だからこそ「実態は難しい」ことや「本当はもっと容易」なことなどの話ができるのが我々の立場なのです。

保護者のみなさんへ
見学・実習生を見かけたら、どうか温かく見守ってください。
挨拶を交わすだけでも、学生の背筋は伸びます。
笑顔で接してくださるだけで緊張感はほぐれます。

そして、幼稚園では子どもたちやご家庭が「学生の練習台」にならないよう、先生が常に配慮をしています。
必ず現場の職員がそばにいて、安全や安心を守ったうえで、学生に学びの機会を提供しています。
行う内容は事前に逐一確認し、あくまでも子どもたちにとっての毎日の質を第一に。
その中で学生が“学ばせてもらう立場”であることを徹底しています。

保護者の皆さまにおかれましては、こうした実習生受け入れへのご理解とご協力をいただけますと幸いです。
各ご家庭のおかげ様で、かなやま幼稚園は少しずつ「選ばれる実習先」となりつつあります。
従来は学生が近隣の園や卒園した園で実習を行うことが多かったのですが、今は地域の中でも信頼して選んで実習に来る場所に育ちつつあるのを感じています。

学生の表情から見えた未来
お話した当日の教室には、静かな集中がありました。
僕の話やスライドに目を向け、要点や言葉を丁寧に書き留めていく姿が印象的でした。
こうして学びを自分の言葉にしようとする姿勢を見て、幼児教育の未来は着実に次の世代に受け継がれていくと感じました。
「この学生さんたちなら、将来の子どもたちを安心して任せられるな」と思えた時間でした。

最後に
もちろん、僕の中でいちばんにあるのは、将来においてかなやま幼稚園の園児たちが幸せになってほしいという気持ちです。
けれど、それだけでは足りないとも思うのです。

社会は多くの人々によって構成されています。
だからこそ、より多くの“今の子ども”に“よい先生”が寄り添い、子どもたちが将来、充実した人間に成長していくこと、その姿を見届けてはじめて、幼児教育は完成するのではないだろうかと。

園の枠を越えて学生に語りかけるのは、その未来を少しでも確かなものにするためです。
かなやま幼稚園の子どもたちも、地域の子どもたちも、そして社会全体の子どもたちも、一緒に育っていく。
その土台づくりに携わることが、かなやま幼稚園の責任であり喜びだと感じています。

そして、こうした場に僕を押し出してくれるのは、ほかでもなく園児と保護者のみなさんのおかげです。
決して僕ひとりの実力や知識、知名度がどうということではなく、日々の子どもたちの姿や、保護者の皆さまの協力があって初めて、このように外へ向けて語ることができます。

また、園の内側に力を注ぎ、僕の身体を自由にしてくださる理事長・園長先生、現場の先生方、事務の先生方のおかげでもあります。
園の内側を支える助けがあるからこそ、僕は園の外に力を向け、地域や社会に語りかけることができています。

もしかすると園の中には「この人、何の仕事をしているんだろう?」と思っている方もいるかもしれません。
けれど、園の内側と外側の両方に力を注ぐことが、今の自分に与えられている役割だと思っています。
その往復が子どもたちの毎日を支え、未来を整えることにつながると信じています。

最後になりましたが、このような機会を与えてくださった教員養成校の皆さまに重ねて御礼申し上げます。

■一部切り抜き
こんな感じで1時間ほどお話させていただきました☺