おゆうぎかいのれんしゅう
こんにちは!
今回はお遊戯会の練習の様子をお伝えします📸
さて、お遊戯会まで1か月を切りました!
各クラスでは、クラスの発表や、学年では合奏や合唱の練習が本格的に始まっています✨


インフューズドコーヒーと”新しさ”と幼稚園と
最近、インフューズド(後から着香する)コーヒーの取り扱いをする専門店も増えてきており、僕も最近オレンジやチーズケーキ(!)の着香をしたものをいただいてみました。
これは目新しい。今までにはなかったけど、これはこれでなかなかおいしい。
コーヒーカップの中でも、教室の中でも、「新しい」は常に更新されます。
古典的な嗜好品のようで、日進月歩、新しい製法や手法が開発されるコーヒー。
斬新で、おもしろい、でもその本質とか線引きとはなんだろうか。
その“疑問”の中に、コーヒーの世界から幼児教育にも見られる「新しさ」との付き合い方が見られます。
■ コーヒー側の話、“おいしさ”の増幅か、“目的”の転換か
インフューズド(後工程で香味を付与・強調する)や、アナエロビック(嫌気発酵)といった比較的新しい手法は、たしかに“おいしさ”を後押しする材料になります。
ジャムのような果実味、特徴的なフレーバー。
僕もここ数年は好んで発酵度の高い、アナエロビック製法のコーヒーを選んでいます。
一方で、
「農地・品種・一次精製が織りなすテロワール(土地や風土の特徴)を飲むのがコーヒーの本旨では?」
という反対も筋が通る。
「おいしければなんでもいいじゃない」そういった考えももちろんあるでしょう。
しかし、過度な後加工は、栽培・収穫・一次精製の価値を覆い隠し、産地の報酬設計や職能への敬意をぼかす可能性もはらんでいる、と。
これは実は現代のコーヒー業界で”議論の的”にされるテーマなのです。
要は、評価軸が混線してしまう要因になりえるのです。
・“生豆の素点”を味わう競技なのか
・“加工・設計の表現”を楽しむ競技なのか
・両者を同じテーブルで、同じ物差しで比べていないか
・一次精製は粗雑でも、二次加工でごまかす生産者が出てくるのではないか
■ 教育側の話、“新奇さ”と“育ち”がすり替わらないか
幼児教育でも似たことが起きます。
英語学習、タブレット学習、ロボット教材、最新の運動メソッド、AIアプリ……
新しいアプローチや見栄えのする活動は、子どもの好奇心を刺激し、保護者の方の目にもとまりやすい。
保護者の方の”ウケ”だけを狙うのであればどんどん導入していくべきかもしれません。
しかし、幼稚園という場では“新しさ”や”見栄え”だけを最初の目的にするべきではない。
幼児期に大事にしたいことは生活の土台作り。
具体的には神経系の配線や、安心と挑戦の往復(ウェルビーイングの循環)など。
ここが核だとすると、”見栄えや派手さ”が“育ち”の中身を上書きしていないか、子どもの本質や芯に残る活動になりえるのかが重要な点です。
目的は常に「子どもの最善の利益」であり、導入はその目的にどう寄与するかで決めるのが筋です。
■ 導入姿勢の原則
かなやま幼稚園は決して「目新しさ」や「見栄えの良さ」だけで導入を急ぎません。
子どもの最善の利益と、日々の生活(遊び・対話・安心)の連続性を基準に、必要性・時期・方法を丁寧に見極め、教育内容は「土台に寄り添う働き」として位置づけられるものを取り入れて、残しています。
■ 教育の具体例、“抵抗をほぐす活動”や“活動に厚みを出す時間”
・英語の時間:
小学校以降の学習につながるように、まずは抵抗感をなくすための「楽しみとしての英語」から始めます。
正確さの競争ではなく、耳と口をほぐし、音のリズムややりとりの面白さに触れる。
ここで「英語=楽しい」という最初期の感覚が整うことで、その後の教科学習への橋渡しにつなげたいと考えます。
・ダンスの時間:
既存のリズム活動に厚みを持たせるために導入をしました。
ステップの型を増やすことが目的ではなく、音と身体の同期、空間把握、周囲との共動作(合わせる・待つ・受け渡す)を体験として積み重ねる。
いわば、日々のリズム遊び(基礎)と、身体表現(拡張)に幅を持たせる活動とも言えます。
ここでも主語は”子ども”です。
英語もダンスも、楽しみと生活の土台を崩さずに、経験の幅を広げたいと考えます。
■ 早ければ早いほど良い?
ここで大事にしたい考え方をひとつ。
語弊を恐れずに言えば、教育の早期実施は必ずしも善ではありません。
幼児期は「量を前倒しする時期」ではなく、「順番と質、生活の土台を整える時期」。
英語の早期化も、ダンスの導入も、感受性期と生活の動線から外れれは“早いだけ”になります。
早いだけの取り組みは子どもに表面的な難易度だけを感じさせ、返って「嫌い」「苦手」の原因になってしまうこともあります。
■ 二階建てで整理してみたい
混線をほどく方法として、二階建てで整理してみましょう。
一階は土台、二階は拡張部分という考え方です。
・一階=土台や本質の階層:
コーヒーなら「土・品種・一次精製」を主役に評価。
教育なら「生活・遊び・人との関係」を主軸に発達を見る。
・二階=拡張の階層:
コーヒーならインフューズドや二次発酵の表現、おいしさの拡張。
教育ならICT・ロボット・AI・英語・ダンスなどの新規アプローチ。
決して二階部分を否定しない。
有用なことや、子どもの成長につながる楽しみだってたくさん存在します。
ただし一階で土台ができていないと二階部分は成立しえない、そこは無視してはいけない。
■ 抵抗は悪者じゃない
抵抗感は、大切な基準を守るためのブレーキです。
ブレーキが利かない車は怖い。
でも、ブレーキだけで走ることもできない。
コーヒーなら一次精製やテロワールへの敬意を失わず、新しい手法の楽しさを開く。
幼児教育なら生活と遊びを核に、英語やダンス、テクノロジーに“子どもが触れる距離を長くする”。
“新しいから良い”でも、“古いから尊い”だけでもなく、何のために、誰のために、どうするべきなのか。
ここが合えば、複雑さや疑問が少しずつときほどかされていくのかなと思います。
【 用語の整理📖】
実は、お茶の世界では着香も二次発酵も一般的であったりしますが、不思議なものでコーヒーでは比較的新しめの手法であったり一部界隈ではタブー視されることもあるとのことで。
例えば紅茶のアールグレイはアルコールにベルガモットオイルを混ぜたものを吹き付けて着香しますし、プーアル茶では二次発酵を行います。
同じ嗜好品の飲料でも、カテゴリーが異なると意外とフィニッシングの方法が最近まで取り入れられてなかったりしますね。
■ インフューズド(Infused)
・何をしている?
収穫後の工程(発酵・乾燥・保管など)で、外部の香味要素を意図的に付与する手法。
「共発酵(発酵タンクに果皮や果汁、スパイス、ハーブなどを加える)」や「樽・接触熟成(グリーンビーンズやパーチメントをラム樽・バーボン樽・ワイン樽などに一定期間置いて香りを移す)」。
また、アルコール浸漬(Alcohol infusion)も存在し、豆そのもの、あるいは乾燥途中の豆をラムなどの酒精に短時間漬けたり、アルコール抽出の香気溶液に接触させて香りを移す。
焙煎時にアルコール自体は揮発するが、香りとしては強い影響を残す。
・味の傾向
ベリーやトロピカルの果実感、スパイスのアクセント、チョコレートやラム/ウイスキー様のニュアンスなど、ストーリー性のある“輪郭のはっきりした”香りが前面に出やすい。
相対的にテロワールや品種差は背景へ回りやすい。
■ アナエロビック(Anaerobic Fermentation)
・何をしている?
収穫後の発酵を嫌気(低酸素)環境で行い、温度・時間・糖度・pH・内圧などを管理して微生物の働きを用いる方法。
ウォッシュト/ハニー/ナチュラル各方式と組み合わせた派生(例:アナエロビック・ナチュラル)が一般的で、外部素材は基本的に加えない。
発酵の進行に伴う微量のエタノール生成はあるが、工程として酒精を投入するわけではない点で、アルコール浸漬とは異なる。
・味の傾向
乳酸的でクリーミーな口当たり、熟した果実感、時に微発泡を思わせる立体的な酸。
香味の密度が高まり、ワイン様のニュアンスを帯びることがある。
従来の発酵より狙った方向へ風味が寄りやすく、同じ農園・同じ品種でも表情を大きく変える。