トイレ工事にあたって
こんにちは!
今回は令和7年度トイレリニューアル工事の考え方についてお知らせします✏
さて、面倒くさいタイプの人による面倒くさい考え方について書き連ねていきますので
ご興味ある方以外はここらへんでそっ閉じしてください、、、笑
幼稚園トイレリフォームの設計思想
今、世の中は効率とスピードを追い求め、ものが簡単に使い捨てられる時代になりました。
そんな「使い捨てのライフスタイル」が主流となる中で、今回は幼稚園という小さな社会から、静かに逆の提案をしたいと考えました。
コンセプトは「クラシックな空気感を、現代的な素材で再構築する」という考え方です。
懐かしく、落ち着いた雰囲気。
けれど、衛生的で現代の機能にもしっかり応える。
時代の技術と、変わらない意識の融合を目指しています。
■ “究極の楷書体”のような、トイレ空間を
今回、この設計で特に意識したのは、「究極の楷書体」のような空間です。
それは、誰にでも自然に読めるけれど、実は一画一画に高い誠実さと均整が求められる、基本にして極みの形。
華やかさではなく、まっすぐで、飽きがこず、長く信頼される佇まい。
そんな空間を、モダンな建材を使いながらも、クラシックな雰囲気で実現しました。
ご覧いただければ昔ながらの「幼稚園のトイレ」をどこか雰囲気として感じていただけることかと思います。
■ 安心して使えることを、何より大切に
トイレは子どもにとってはとても繊細な空間です。
音や雰囲気、ひとりで個室に入る不安、排泄という行為の恥ずかしさ。
だからこそ、「ここなら大丈夫」と思える環境を整えることが何よりも大切です。
・閉塞感のない空間設計
・自然光を取り込める設計
・見通しと安心感のある動線
・子ども目線の高さと距離感
これらはすべて、子どもが心を落ち着けて用を足せる場所であることへの配慮です。
そしてこの「安心感」が、トイレ習慣の確立や、自立の第一歩を支える土台になることを願っています。
■ 無機ではなく、有機の感触を
現代の建材や設備は、高性能である一方で、冷たく無機的な印象を与えることもあります。
そこで設計時から、意識的に「有機的なかたち」や「自然の質感」を選びました。
・素材には、なるべく木目調のものを選択
・建具には曲線を多用できるように
・色調も真っ白ではなく、アイボリーやイエローの入った白を
そうした柔らかなかたちや色は、人間に、子どもたちに「ここは安心して使える場所だ」と感じさせる空気を生み出してくれます。
目には見えにくい、けれど確かな“肌感覚”の配慮。
それが、この空間づくりの根底にあります。
■現代の高性能素材を使って
空間全体には木目調ややさしい色合いを多く取り入れていますが、その下支えとなっているのは、現代の高性能素材です。
とくに、床材と壁面材には、抗菌(ウイルス)性・防汚性・耐水性に優れた機能素材を使用しています。
一見すると自然素材のように見えるこれらの建材も、実は最新技術によってつくられた、清掃性と耐久性に優れたプロ仕様の材料です。
滑りにくく、湿気や臭いもこもりにくい構造で、子どもたちにも先生方にも安心して使ってもらえることかと思います。
今回は湿式トイレから乾式トイレへと大きな変更もしています。
こと、教育・保育の現場では湿式トイレが主流ではありますが、より衛生的な環境づくりに向けて乾式トイレを施工しました。
🔹乾式トイレ(ドライ)
床に直接水を流さず、モップやクロスで拭き掃除する設計。
滑りにくく、カビやにおいが発生しにくいのが特長。
滑りにくい素材等もあり、安全・衛生面で近年の方式。
🔹湿式トイレ(ウェット)
床に水を流して洗い流す前提の伝統的な設計。
排水溝があり、水を多く使って清掃するスタイル。
一方で湿気がこもりやすく菌やウイルス、湿気が発生しやすい、また滑りやすい面も。
■ 「使い捨てない」という姿勢を、空間で伝える
空間は、それを使う人の価値観を育てます。
このトイレは、ただの設備ではなく、「使い捨てない」という文化を子どもたちに伝える場でもあるのです。
掃除しやすく、壊れにくく、直して使い続けられる素材を選び、“長く大切に使うこと”を前提にした設計。
それは、子どもたちが無意識に受け取る、「モノとどう付き合うか」という人生の態度にもつながっていくと信じています。
■ 子どもたちの「できた!」を支える
もちろん、機能面でも成長をサポートする視点を大切にしています。
便器や手洗いの高さ、ドアの開閉のしやすさ、手を挟まない設計など子どもが安心して自分の力で使える構造にこだわりました。
それは、トイレの中で生まれる「できた!」という小さな成功体験。
この積み重ねが、園生活での自信となり、自立へとつながっていきます。
■ かなやま幼稚園らしさも、しっかりと
クラシックで落ち着いた空間を目指す一方で、もちろんかなやま幼稚園らしさも大切にしています。
たとえば、窓枠のかたちや配色、トイレブースのカラーリングなどには、幼稚園らしい明るさや柔らかさを意識。
温もりある色合いと丸みのあるデザインで、子どもたちが「ここはかなやま幼稚園の延長線」と感じられるような工夫を施しています。
■ 流行ではなく、暮らしの“様式”としてのデザイン
奇をてらったデザインや、流行を追いかけた派手な空間も、確かにその瞬間は目を引きます。
「新しい」「今っぽい」といった魅力に満ちており、短期的には“素晴らしい”と思えることもあるでしょう。
けれど、流行はあくまで“流れ”であり、いずれは次のものへと移り変わるものです。
数年後、「あのデザインはちょっと…」と色褪せて見えてしまうものも少なくありません。
だからこそ、リニューアルにあたってはトイレという人の生活にとって欠かせない空間で、子どもや先生が安心して使うためには“流されないデザイン”が必要だと考えました。
トイレは「機能」だけでなく、「様式」や「姿勢」を内包する場です。
一時の派手さではなく、生活に静かに寄り添い続ける、揺るぎないかたちを目指すべき場所だと考えます。
そのため、今回のリフォームでは、意識的に普遍性のあるデザインを選びました。
クラシックな雰囲気と、現代的な機能。派手すぎず、けれど温かみと確かさのある空間。
それは、単なる見た目の話ではなく、暮らしの様式としての“正しいかたち”をつくることでもあります。
■ この工事は過去から未来の基礎づくり
今回のトイレリフォームは、単なる設備更新ではありません。
これを、今までも、そしてこれからも続いていく「かなやま幼稚園の保育」の基礎のひとつだと捉えています。
子どもたちの毎日の生活に、そっと寄り添い続ける空間。
そこに普遍的な価値を込めることが、これから先の園づくりの指針になると信じています。
このリフォームは、日々の保育をより豊かなものにするための一歩であり、園の未来への投資でもあります。
工事の期間中は、保護者の皆さまにもご不便をおかけする場面があるかと思います。
どうか引き続きのご理解とご協力を賜れましたら幸いです。