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かなやま幼稚園ブログ

園のようす

卒園記念写真📸

こんにちは!
今回は卒園記念写真の様子をお伝えします📸

さて、本日は卒園アルバムのための卒園記念写真の撮影でした📸
みんなぴしっとしながらもにこやかな表情で写真撮影に臨みました☺

ちょっと緊張気味の子もいましたので、
「かわいい顔で!」と記念写真の練習で写真を撮りました!

園写真と肖像画
本日は卒園記念写真の撮影でした。
見ていただくと、どの園児の写真の中にも必ずフレームの中に
・卒園証書
・制服
・リュック
の三つが入るように、構図を決めて撮影しています。

卒園証書は、この園で過ごした年月と、子どもたちの頑張りの証。
制服は、毎日の遊びや学び、友だちとの時間が染み込んだ“日常の姿”そのもの。
そしてリュックは、毎日の登園・降園で使ってきた、“日々をいっしょに歩いてきた相棒”。
この先に続いていく新しい道への一歩を、これからも背中からそっと支えてくれる存在です。

一枚の写真のなかに、子どもたちの顔だけでなく幼稚園で過ごした「これまで」と「今」と「これから」を象徴するものを一緒に写しておきたい。
そんな思いも込めて、卒園写真にはこの三つが入っています。

美術の世界でも
じつはこうした考え方は、美術の世界のなかにもたびたび見られるものです。
先日、(珍しく土日に外出をして)国立西洋美術館で開催されている「オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語」という展覧会を観に行きました。
パリのオルセー美術館からやってきた作品を中心に、「室内」をテーマにした絵画が並ぶ企画です。

西洋の古い絵画を見ていると、人物の横にいろいろなモノが描き込まれているのに気づきます。
本や楽器、花、ペット、机の上のインク壺や手紙、壁にかかった別の絵、こうしたものは「アトリビュート」と呼ばれ、その人の性格や仕事、価値観を伝える役割を担ってきました。

ちなみに鋼の錬金術師の真理の扉っぽいロダンの「地獄の門」も屋外にあります

アトリビュートが見られる絵画
今回のオルセー美術館展でも、そのことがよく分かる作品がいくつか展示されています。

例えば、エドゥアール・マネによる「作家エミール・ゾラの肖像画」では、ゾラは机に向かって座り、本を片手にしています。
机の上にはインク壺とペン、背後の壁にはマネの「オランピア」の版画やスペイン絵画、日本の版画が貼られています。
インク壺とペンは「職業=作家」の象徴。
壁に飾られた「オランピア」は、批判の的にもなったマネの作品であり、それを擁護したゾラとの固い友情を示しています。
日本の版画は、マネ自身が強い影響を受けていた“ジャポニスム”の趣味を表すものです。
一枚の肖像画のなかに、ゾラ本人だけでなく、彼がどんな本を読み、どんな芸術を愛し、どんな友人を支えたのかという情報が、机と壁のモノたちを通して詰め込まれています。

また、ピエール=オーギュスト・ルノワールの「ピアノを弾く少女たち」も、室内とモノが人や生活を語る作品です。
室内で、二人の少女が並んでピアノに向かっている絵ですね。
ここで印象的なのは、ピアノという楽器そのものが持つ意味です。
当時のパリで、家庭にピアノがあるというのは「ある程度ゆとりのある中流以上の暮らし」の象徴だったそうです。
少女たちの服装や部屋の調度品も含めて、
「この家では、娘に音楽教育を受けさせることができる」
「ゆっくりと余暇を楽しむ時間がある」
という生活の質を、言葉を使わずに伝えています。
ピアノ、椅子、テーブルの上の花瓶、カーテンの布地こうしたモノたちが、少女たちの表情とともに、その家の空気を形づくっています。
※この作品は撮影可でした📸

人物がいてもいなくても、
「どんな部屋に、どんなモノと一緒にいるのか」
というのは、その人の価値観や生き方を映し出す鏡なのだな、と改めて思わされる展示でした。

思い出を運んでくる”モノ”
そんな視点で振り返ってみると、今年の卒園記念写真に入っている
・卒園証書
・制服
・リュック
の三つも、幼稚園と子どもたち一人ひとりの小さな「アトリビュート」だと言えるかもしれません。

数年後、あるいは十数年後に、ご家庭でこの写真を見返したとき、
「この証書をもらった頃は、こんな表情をしていたな」
「この制服で、毎朝玄関を一緒に出ていたな」
「このリュックを背負って、お部屋に入っていたな」
と、モノたちが当時の思い出を運んできてくれたらうれしいなと思っています。

西洋の肖像画の中では、本や楽器や花瓶が、その人の人柄や生活を語る大切な手がかりでした。
同じように、私たちのまわりにも、子どもたちの「らしさ」を映すモノがたくさんあります。

使い込まれた上履き、何度も読み返した絵本、端が少しくたっとなったハンカチ、毎日背負っていくリュック。
どれも、単なる持ち物ではなく、その子の時間と感情がたっぷり染み込んだ“アトリビュート”です。

卒園写真は、そうした考え方も感じられるような、「子ども」と「モノ」を一緒に写した一枚になっています。
どうかご家庭でも、お手元に届きましたら写真の中の三つのモノに目を留めていただきながら、お子さんの「これまで」と「これから」に思いを馳せていただければと思います。