第1回進路希望状況調査
第1回進路希望状況調査について
今回は、幼稚園から少し先の進路に目を向けて、高校入試についてのお話です。
埼玉県の「第1回進路希望状況調査」が公表されました。2027年春に中学校等を卒業する生徒を対象に、2026年10月1日時点の進路希望をまとめたものです。
ごきょうだいの受験を控えているご家庭や、卒園した子どもたちにとっても、気になる情報ではないでしょうか。
昨年度も、こちらでの紹介を機に受験期の卒園児のご家庭がご覧になっていただいたというお声がけをいただきました。
なかなか保護者の方がご覧になる機会も多くはないかと思いますので、ぜひ存在だけでも知っておいていただければと思います。
この調査で目に留まりやすいのが、各高校の「倍率」です。しかし、倍率は数字だけを見ても、その意味を十分に理解できるとは限りません。
今回は、調査の見方と今年の特徴、そして来春の入試で確認しておきたいことをご紹介します。
1.第1回進路希望状況調査とは
この調査は、中学校卒業後にどのような進路を希望しているかを把握するためのものです。
公表された統計表では、公立・私立高校などへの進学希望状況や、学校・学科ごとの希望者数を確認できます。
公立高校の希望倍率は、希望者数を調査上の募集人員で割って求めています。
ここで大切なのは、「進学を希望している人数」と「実際に出願する人数」は違うということです。
今回分かるのは、あくまでも10月時点での希望の集まり方です。その後の学習状況や学校選びによって、志望先が変わる可能性もあります。
したがって、この調査は「現在、どの学校にどれくらいの希望が集まっているか」を知る資料であり、入試本番の競争状況や、一人ひとりの合格可能性を確定するものではありません。
2.今回、高い希望倍率となった高校
今回の調査で、県内公立高校の普通科において希望倍率が2倍を超えたのは、次の7校です。
高校名〈いずれも普通科〉 希望倍率
・市立川越高校 2.84倍
・市立浦和高校 2.82倍
・川口市立高校 2.70倍
・上尾高校 2.32倍
・大宮高校 2.24倍
・浦和西高校 2.06倍
・越谷南高校 2.04倍
募集枠に対して、多くの希望者が集まっていることが分かります。
ただし、この表は「入試が難しい高校の順位」ではありません。
倍率は人数の関係を示すものであり、希望している生徒の学力や、その学校でどの程度の得点が必要になるかまでは示していないためです。
「2倍だから、自分が合格する確率は50%」「1倍に近いから、安心して受験できる」という捉え方はできません。
倍率は学校選びの参考になりますが、自分の学習状況や、志望する学校の選抜方法と併せて考える必要があります。
3.希望倍率は、どこまであてになるのか
結論からいうと、希望倍率を、そのまま本番の倍率の予測としてあてにすることはできません。
実際に、前回の入試では、秋の希望調査と出願確定時で数字が大きく変わった学校があります。
上尾高校の普通科は、2025年10月の希望調査では2.36倍でしたが、2026年2月の出願確定時には1.33倍でした。
一方、熊谷高校の普通科は、秋には0.96倍でしたが、出願確定時には1.13倍となっています。埼玉県公式サイト
秋に高い倍率だった学校が、その後下がることもある。反対に、秋に1倍を下回っていた学校でも、出願時には1倍を超えることがあるということです。
もちろん、今年も前年と同じ動きになるとは限りません。
ただし、こうした違いがあるからといって、調査そのものが不正確だったり、見る意味がなかったりするわけではありません。
調べているのが「その時点の希望」だからです。
現在の希望の集まり方を知るためには役立つ。
しかし、最終的な出願状況を予測するには限界がある。
この区別をして受け止めることが大切です。
高い倍率を見て早々に志望校を諦めることも、低い倍率を見て準備を緩めることも、この段階では慎重に考えたいところです。
4.募集人員の減少と倍率の関係
倍率を読む際には、希望者数だけでなく、募集人員にも注目する必要があります。
倍率が上がる理由は、「その学校を希望する生徒が増えたから」とは限りません。募集枠が小さくなったことによって、倍率が上がる場合もあるためです。
例えば、春日部東高校の普通科は、希望者数が前年も今回も298人でした。
しかし、調査上の募集人員が318人から278人へ減ったため、倍率は0.94倍から1.07倍へ上昇しています。
希望者が増えていなくても、募集枠が減れば倍率は上がります。
一方、浦和北高校の普通科は、募集人員が318人から278人へ減るとともに、希望者が346人から426人へ増えました。
その結果、倍率は1.09倍から1.53倍へ上昇しています。
こちらは、募集枠の減少と希望者の増加が重なった例です。
同じ「倍率が上がった」という結果でも、その背景は異なります。
もちろん、募集人員の減少による上昇なら、気にしなくてよいということではありません。
同じ人数が受験するなら、募集枠が減る分、競争条件は変わります。
「希望者は何人増減したのか」「募集枠はどう変わったのか」。
この二つを確認すると、倍率だけでは見えてこない変化が分かります。
5.2027年度入試は、選抜方法が変更になる
来春の入試では、倍率と併せて、選抜方法を確認することが特に重要です。
2027年度、令和9年度の埼玉県公立高校入試から、選抜制度が変わります。
主な変更として、全ての受検生を対象に面接が実施され、その参考となる「自己評価資料」を提出します。
また、「共通選抜」と「特色選抜」が導入されます。
・共通選抜では、学力検査・調査書・面接について、県教育委員会が定める方法で得点を算出します。
・特色選抜では、学校・学科の特色に応じた評価が行われ、特定の教科を重く評価する傾斜配点や、実技・作文などの特色検査が設けられる場合もあります。
学校・学科によって、共通選抜のみ、特色選抜のみ、両方を組み合わせる場合があります。
そのため、志望校については、学力検査、調査書、面接がどのように評価されるのか、特色検査があるのかなど、公表されている「選抜実施内容」を確認する必要があります。
「昨年はこのくらいの成績で合格した」「倍率が昨年と同じくらいだから大丈夫」といった情報だけでは、今年の条件を十分に捉えられません。
倍率は、どれだけの人が希望しているかを知る材料です。選抜方法は、何がどのように評価されるかを知る材料です。受験に向けた準備を考えるには、両方が必要です。
なお、面接について、県は話の上手さを評価するものではないと説明しています。
上手に話す練習だけではなく、これまで取り組んできたことや、そのときに考えたことを振り返り、自分の言葉で伝えられるようにしておくことが大切になることかと思います。
6.調査を、進路を考えるための材料に
第1回進路希望状況調査は、現在の志望動向を知るための資料です。
しかし、その数字だけで、志望校の入りやすさや自分の合格可能性を判断することはできません。
希望者数と募集人員の変化を確かめ、その学校の選抜方法を確認する。
そのうえで、学びたい内容や学校生活、自分の得意なこと、これから伸ばしたいことを考えていく。
そうした使い方をすることで、調査は進路選択に役立つ情報になります。
私たち大人も、倍率を見てすぐに「難しそうだね」「ここなら大丈夫だね」と結論を出す前に、本人がその学校を希望する理由に耳を傾けたいものです。
数字は大切な判断材料ですが、それだけで進路を決めるものではありません。
必要な情報を確かめながら、子どもたちが自分の希望と向き合い、納得できる選択に向かっていけるよう、応援していきたいと思います。
最後に.なぜ幼稚園で高校受験について取り上げるのか
幼稚園のブログで高校受験について取り上げることを、少し意外に感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、幼稚園に通う子どもたちにとって、高校受験はまだまだ先のことです。
それでも、こうした話題を取り上げるのには理由があります。
高校受験は、多くの子どもたちが成長の過程で経験する、大きな節目の一つだからです。
そして、少なくとも高校受験までは、子ども自身の努力だけでなく、保護者の方が進学制度を理解し、必要な情報を得ながら、子どもと一緒に進路を考えていくことが大切だと考えています。
高校にはさまざまな種類があり、学校ごとに教育内容も入試制度も異なります。
また、制度そのものが変わることもあります。そうした情報を中学生になってから初めて知るのではなく、保護者の方が少しずつ関心を持ち、理解を深めておくことには意味があるのではないでしょうか。
もちろん、保護者の方が全てを決めるということではありません。
子ども自身の希望や考えを大切にしながら、必要な場面で相談に乗り、一緒に選択肢を考えていく。
そうした伴走が、高校受験の段階では特に求められると感じています。
幼稚園での教育は、卒園とともに完結するものではありません。
子どもたちは小学校、中学校、そしてその先へと成長していきます。
だからこそ、今の子どもたちの姿を大切にするとともに、その先にある教育や進路についても、保護者の皆様と情報を共有していきたいと考えています。















